比婆の山菜ごはん「じょうぼうめし」

 

比婆地方で初夏に採れる山菜の1つ「ジョウボウ」。比婆地方では昔からこの時期、さまざまな山菜料理が食卓に並んでいました。

 タラの芽やわらび、ぜんまい、ウワバミソウなどはよく聞きますが、「ジョウボウ」って・・・?

比婆地方で初夏に採れる山菜「ジョウボウ」

比婆郷土料理研究家 小林富子さんから「珍しいもんを作ったけぇ、いるか?(欲しいか?)」と聞かれ、なにかよくわからなかったけれど「欲しいっ!!」といただいたのが、この”ジョウボウめし”。ジョウボウめしは、ジョウボウという山菜を入れて炊きこんだごはん。

 

小林さんの話によると、ジョウボウは、比婆の呼び名で正式名「リョウブ」という山菜。

戦争中には、お米を供出していたため、農家でもお米が不足していて、少しのお米でおなかを満たすため、ごはんにこのジョウボウを入れ食べていたとのこと。

 

量を増やす”かさ増し”のための食材だったようです。

 

ジョウボウは、ほかの山菜同様、あく抜きが必要で、山から採ってきたら、なるべく早めに塩ゆで(もしくは、重曹を入れた熱湯)しておきます。

 それをお米に混ぜこんで炊いています。

 

戦争中に食べていたころは、いりこをちぎったものをいっしょに入れていたそうですが、今回はちりめんじゃこで代用です。

 

食べてみると、特徴的なジョウボウの香りで、クセになる感じ。

 山菜の持つ独特の土のパワーのようなものが、山の香りとなって、食卓に運ばれたようです。

 

 

いまでは、めったに食べることがないという貴重な郷土料理「じょうぼうめし」。

 山の恵みでパワーチャージ! 今回もごちそうさまでした。


リョウブ・・・学名 Clethra barbinervis 

リョウブ科の落葉小高木。若葉を山菜にする。

 

 

by RIE KIKKAWA