2016年3月上旬
広島県庄原市東城町(とうじょう)帝釈峡(たいしゃくきょう)といえば紅葉の名所として一度は耳にしたことがある方も多いはず!!
まだ聞いたことがない!知らない!という方のために簡単にご案内しておきましょう♪
帝釈峡は、約18㎞にもなる名勝「帝釈川」を中心に、庄原市と隣接する神石高原町(じんせきこうげんちょう)にまたがる比婆道後帝釈国定公園です。
帝釈峡には素晴らしい絶景ポイントがたくさんあるのですが、その中でも代表する名勝地が2ヶ所あります。
『 雄橋(おんばし):上帝釈(かみたいしゃく)地域』と
『 神龍湖(しんりゅうこ):下帝釈(しもたいしゃく)地域 』です。
通常は、「雄橋」から「神龍湖」へ行くには車で移動するのが一般的ですが(所要時間約20分)、私たちは、この2地域を結ぶ帝釈渓谷添いの遊歩道(所要時間約2時間30分)を歩いて散策してみることに♪
雪解けしたばかりの緑少ない帝釈峡トレッキングですが、野鳥を観察するにはおすすめの季節です♪(*'ω'*)
雄橋の駐車場に車をとめて歩き始めてすぐの帝釈川
川の水音と澄みきった空気が心地よい、マイナスイオンたっぷりです
遊歩道を歩いていると、川辺から上がってきた一人の男性と遭遇。何をされている方なのかなぁと声がけしたところ、なんと北広島市在住の方で長年にわたり「カワシンジュガイ」を研究保護されている方ということが判明!私たちも興味深々になり少し話を聞くことができました。「へぇ~っ!!」です♪
ココでカワシンジュガイについての小ネタ話を。
掘り下げていくと長くなりそうなので(笑)簡単に。
カワシンジュガイ(川真珠貝)とは。
川底に突き刺さるように棲息する二枚貝で帝釈峡でも天然記念物に指定されています。氷河期時代から変わらず棲息し続け”生きた化石”と言っても過言ではなく、またどこにでも棲息している貝でもありません。気温上昇にともない現在では最北は北海道、最南限(最西限)棲息地として広島県庄原市東城町帝釈峡(帝釈川)や広島県山県郡北広島町が認められているそうです。地元の方に聞いたところ、現在は天然記念物に指定さて保護されていますが昔はたくさん採れて食べていたようですよ。それほど美味しくはなかったそうですけど(笑)
研究されている方によると、アブラボテやアマゴという川魚との関係性がポイントだとか。
アブラボテはカワシンジュガイに卵を托卵し、幼生はアマゴに寄生するのだとか。それぞれの生態系があってこそのカワシンジュガイの棲息地というこになるそうです。アブラボテは二枚貝に托卵しますが、アブラボテの生息エリアとカワシンジュガイの生息エリアが重なる場所は珍しく、この組み合わせで托卵するのは、この帝釈峡を含め世界でたったの3か所だけ!だそうです。
色々な条件が重なることにより帝釈峡は非常に珍しい生態系が確認できるのです。
雄橋とか神龍湖などのメジャーな景勝地のイメージが強いですが、目線を変えればまた違う楽しみかたができるのが帝釈峡。
シンジュガイだけでなく石灰石を食べるタイシャクギゼル(カタツムリの仲間)やタイシャクイタヤ(イタヤカエデの仲間)などなど…かなりマニアックな動植物がもりだくさんココには隠れているのです♪
いつか別の機会にご紹介できたらいいですね。
潜っている真っ黒い野鳥を発見
カワガラスです♪
「雄橋(おんばし)」
国天然記念物指定され、日本三大天然橋の一つともいわれる巨大な天然岩橋です。
新緑の季節は木々の葉が生い茂り雄橋を覆うように緑に包まれます
雄橋の中を通るとこんな感じ
数十年前までは、この雄橋の上を普通に一般道路と同じように車や人が通っていたそうです
「断魚渓(だんぎょけい)」
雄橋をくぐり抜け、少し歩くと帝釈川の水音がここにきて急に変化します!(^^)!
一押しの絶景ポイントです♪ 水音の変化をお聞き逃しないように!
断魚渓を過ぎて少し歩くと、迂回路表示があります。
実は…従来の遊歩道は落石のため1996年より通行止めになっています。残念なことに遊歩道修繕整備の目安はたっておらず、神龍湖へ行くには2000年に完成した迂回路を歩くしかありません。
急な登り坂
渓谷添いの長閑な遊歩道から急変して登り坂になります。あっというまに左眼下に帝釈川が・・・心臓バクバクです(笑)
ここからは遊歩道というより登山道のような山道が神龍湖側まで続きます。場所によっては山道が崩れたり倒木があったりと危険個所もありす。登山靴を履いていない方は足元が滑りやすく危険ですのでおススメしません。ご注意ください。
神龍湖が見えてきました♪
上帝釈の峠を越えて山道を歩くこと半刻…。目的地の神龍湖が…あの赤い橋が目印です。こちらも急な下り山道がありましたので、滑らないように足元にご注意ください。
神龍湖がすぐ側に
こちら側ルートにも遊歩道通行止めの看板(迂回路標識)がありました。
雄橋側は渓谷添いの水音を耳にしながらの散策ですが、神龍湖側は水の流れがないので静けさに包まれたゆるやかな雰囲気です。遊覧船やカヤック(季節運行)を楽しむことが可能です。
シメ
大きなくちばしが特徴です♪
神龍湖に小船を発見!
何を釣っているのでしょうか…解った方は帝釈峡ツウです!
国の登録有形文化財「神龍橋(元 紅葉橋)」
(土木学会選奨土木遺産)
水面下を覗くと膝が震えそう…けっこう高さがあります。こちらでも地元釣り人を発見したので正解の写真を撮らせてもらいました♪
正解はこちら(*^▽^*)
ワカサギです♪
天ぷらにしたら絶品です!!神龍湖駐車場付近のお食事処でも名物料理にもなっていますのでお越しの際はぜひお試しください。
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今回、私も初めて全コース雄橋(上帝釈)から神龍湖(下帝釈)までを歩いてみた感想をまとめてみました♪
雄橋から神龍湖までしっかり満喫して歩きたい!体力なら自信がある!という方にはこちら♪
トレッキングシューズを履いて危険個所に十分注意して今日のコースを歩いてほしいです。
そして同コースを往復する自信のない方は、車を2台準備しゴール地点に1台車を止めて片道トレッキングすることをおすすめします。参考までに最初の駐車場まで戻るタクシー料金目安は3,500円~4,000円程度だそうです。
気軽に新緑や紅葉狩りを楽しみに来られた方には、こちら♪
急な登り坂もなく渓谷添いをゆっくり歩いて楽しむことが可能なコースです。
雄橋まで歩き駐車場へ引き返す方が多いですが断魚渓・素麺滝まで足を運んで欲しいです。
【雄 橋ルート】雄橋駐車場 ⇔ 雄橋 ⇔ 断魚渓 ⇔ 素麺滝(そめんだき)
☆素麺滝までは遊歩道(砂利道の平地)で散策できます。
※橋駐車場でレンタサイクル(有料)が利用できます(季節営業)
【神龍湖ルート】神龍湖駐車場 → 神龍橋 → 遊歩道散策 → 神龍湖駐車場
※遊覧船、カヤックなど(有料)が楽しめます(季節運行)
帝釈峡は年間を通じて四季折々の美しい景色を楽しむことができます。これから新緑の季節を迎え多くの訪問者を楽しませてくれます。
地元の声を代表して、皆さまにお願いがあります。
帝釈峡は国定公園に指定された大切な地域であり、景観といっしょに希少植物を楽しみに訪れる方も少なくありません。ここにしか自生しない植物もたくさん存在しています。
国定公園内での植物採取は禁じられています。
1本だけなら…。
少しだけだから…。
珍しいから自宅で育ててみたい…。
一人一人の安易な行為が希少植物を年々帝釈峡から消しさろうとしているそうです。植物を愛でる気持ちを大切にし自然を守るため、ご協力をお願いします。
一人一人がマナーを守り、これからも気持ちよく50年…100年後も美しい自然を楽しめるよう一緒に守っていきましょう!
Written by MITSUE IMURA/Photos taken by RIE KIKKAWA