晩秋から初冬に吹く強い風「木枯らし」。比婆地方(広島県庄原市)も、木枯らしの吹く季節になりました。
秋から冬へと季節を転換させる風です。
そんな季節を迎えると、軒下にたくさん吊るされるものが・・。それは・・・、
そう、「干し柿」です。 日の当たる風通しの良い軒下に吊るしてつくります。
昔は、11月になるとどこの農家でも大量の干し柿を作っていたそうです。
甘いお菓子が今ほど豊富になかった時代、柿は甘いおやつの代表だったそうで、甘柿を食べるだけでなく、渋柿も吊るして干し柿にして保存し、おやつにしていました。
皮をむいた渋柿を、軒下に1か月ほど吊るすと渋が抜けてふっくらとした甘い吊るし柿「干し柿」ができあがります。
今年は、当たり年なのか・・・、柿の木にはたくさんの実がついています。
長期保存するには、1か月以上さらに干し続け、充分乾いたものを並べ、藁わら(その秋採れた新藁)と筵むしろで、くるくるっと巻いて包んで、保存したそうです。
そうすると、お正月ごろには表面に白い粉の吹いた干し柿になります。
表面の白い粉は、渋柿に含まれる糖分が表面にでてきているもので「柿霜かきしも」とも呼ばれているそうです。
比婆地方では、お正月の神棚に飾る「正月飾り」に、スルメやコンブ、ミカンなどと一緒に、干し柿を飾ります。
晩秋の自然と人がつくる甘い干し柿。毎年、この光景が見られると、田舎での暮らしは豊かだなと感じます。
by RIE KIKKAWA