秋になり、田んぼの1年もいよいよ終盤。収穫の時期を迎え、田んぼで稲刈りをする光景があちこちで見られます。
最近では、あまり見かけなくなった「はで干し」。
刈り取った稲を束にし、木と竹竿でつくった「はで」にかけて約3週間、天日で乾燥させます。
脱穀したあとの稲わらは、昔は牛のエサにしたり、牛舎の敷き藁にしたりする大切な資源でしたが、牛を飼う農家がめっきり減ってしまった今では、稲わらは必要のないものになってしまいました。今は、コンバインで刈取りと同時に細かく裁断して田んぼにまいて肥料にする農家がほとんどです。干したり脱穀する手間もかからないし。
稲わらは、昔は生活にとても根付いていて、牛を飼うために必要なだけでなく、人の生活そのものにもなくてはならないものでした。
ムシロ(わらの敷物)をつくったり、草履をつくったり、わらスボをつくったり、かっこ(稲わらと木綿のぼろ布をより合わせたものを腰からぶら下げ、火をつけくすぶらせてブヨ除けにした)を作ったり。
昔はとにかく、稲わらなしでは生活できないと言われるほど大切な資源でした。
ちなみに、はで干し(天日干し)せずコンバインで刈取りされたお米は、すぐに機械で乾燥させます。
はで干しのお米ほうが美味しいといわれるのは、昼夜の寒暖差により日中光合成をした稲が夜に休息して味が熟成するとか、稲を吊るすと養分がお米の中にゆっくりと下りて養分を籾に取り込むとか・・・
おいしいと言われる理由はいろいろあるようです。
だんだん減っていくこの「はで干し」の風景。
人の暮らしの変化とともに田んぼの風景も変わっていきます。
by RIE KIKKAWA