比婆地方の民話『果てなし話』

 

比婆地方に伝わる民話『果てなし話』は、西城町(広島県庄原市西城町)の津田タツエさん(明治31年生まれ)の語りをもとに、昭和54年10月に放送されたラジオ番組「ひろしまの民話」で紹介されたそうです。

 

むかし・・・。

 

むかし。

 

ひきがチャボーンと跳んだげな。

ほいたら、小まいのが後から跳んだげな。

 

「へえから、へえから」


蟇がチャボーンと跳んだげな。

ほいたら小こまいのが後から跳んだげな。

 

「へえから、へえから」

 

やっぱり蟇が跳びよるんじゃあ・・・。

蟇がチャボーンと跳んだげな。ほいたらのう、やっぱり小まい蟇がチャボーンと跳びよるんじゃあ。

 

「おばあさん。その次は」

 

まだ、跳びよるんよ・・・・・。


【比婆地方の方言トリセツ】

(ひき)・・・ヒキガエル

 

跳んだげな・・・跳んだそうだ


(こ)まい・・・ちいさい

 

ほいたら・・・そうしたら 

※「ほいたらのう」のように、のうを語尾につけると「そうしたらねえ」となり相手にやさしく語りかけるニュアンスになる。

 

へえから・・・それから

 


ヒキガエルは山に住む大型のカエルで、他の種類のカエルほど跳躍力がないそうです。

だから「チャポーン」じゃなく「チャボーン」なのか・・・。

 

池や田んぼに水が豊富なこの時期、トノサマガエルやイボガエルが田んぼのあぜ道や池のそばを通るたび、元気に次々「チャポーン、チャポーン」と水に飛び込む姿がよく見られます。




by RIE KIKKAWA



参考文献:『採訪記録 ひろしまの民話(昔話編)第二集』中国放送編集 1982年4月発行






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